技術紹介

2024.07.29

SANFINISHの特徴について

今回は初回ということでSANFINISHの特徴について動画を交えてざっくりご説明しようと思います。
バレル研磨機は被研磨物と研磨メディアを一緒にタンクに入れて遠心力を掛けるという特性上、微細精密部品に使用すると部品同士で衝突して打痕や傷、変形などが発生することがあり課題となっておりました。
これを解決するために当社が開発した製品が「揺動式遠心バレル研磨機 SANFINISH」です。

 

構造は4個のタンクが回転軸に対して傾けて設置されており、それらが特別な自公転を行うことでワーク(研磨対象の部品)と研磨材を適切に混ぜ合わせ、ベストな研磨環境を作り出します。

 

一般的な従来型の水平式遠心バレル研磨機と弊社のSANFINISHについて容器内に掛かる力を比較したのが図1になります。
弊社の研磨機では混合機の場合と同じく、水平方向と軸に対して上下方向の両方に力が掛かることによりワークと研磨材は容器内で3次元的に揺動します。

 

 

【図-1】タンク内に働く力の向きの比較

 

 

動画-1、2に容器内でのワークと研磨材の動きのシミュレーションを示します。
動画-1が一般的な従来型の遠心バレル研磨機、動画-2が弊社の揺動式遠心バレル研磨機のシミュレーション動画です。(シミュレーション手法についての記事は後日アップ予定です。)
従来型ではワークがすぐに浮き上がってしまい、ワーク同士で衝突を繰り返していることがわかります。
また研磨材に接触していない箇所があるため研磨効率も悪く、研磨時間は比較的長くなってしまいます。

 

 

【動画-1】一般的な従来型遠心バレル研磨機の動き

 

 

それに対して弊社の研磨機では下の動画のように内容物が水平方向に回転しながら3次元的に揺り動かされていることがわかります。
この動きにより、ワークはバラバラになって研磨材の中に留まり、常に周りを研磨材に囲まれている状態を実現しています。
この結果ワークの間に存在する研磨材がクッションとして働くことで、ワーク同士の衝突による問題が劇的に改善されました。
またワークの全面が常に研磨材に接触した状態となるため、研磨能力が向上し研磨時間が短縮されました。

 

 

【動画-2】弊社製揺動式遠心バレル研磨機の動き

 

 

(シミュレーションでは視覚的にわかりやすくするためにワークをメディアの上に置いた状態で回転を始めておりますが、 実際はワークをメディアの中に沈めた状態で装置にセットしますので、ワークは回転当初からメディアに囲まれた状態となります。
逆に一般的な遠心バレル研磨機ではワークを沈めた状態で回転を始めてもすぐに上下に分離し、動画-1の状態になってしまいます。)

 

 

図-2、3に揺動式遠心バレル研磨機の研磨例を示します。

Bは厚さ0.1mmのステンレス薄板であり、すぐに折れてしまうペラペラな部品ですが、全く変形せずに研磨されています。
またAのような複雑な形状やCのような細いもの、Dのような筒状のものでも傷や変形を起こさずに研磨されています。
弊社の揺動式遠心バレル研磨機は、このような微細で繊細な部品の仕上工程に大きな効果をもたらす製品となっております。